外傷・障害が発生すると「腫れ」「炎症」などが起こり、痛みを生じます。
このような痛みや悪化を防ぐことが、ファーストエイド(応急処置)と呼ばれるものです。
応急処置はRICEと呼ばれ、
の処置を施します。
安静は、骨格筋の障害にとって不可欠なものです。
安静とは、すぐにスポーツや運動を止め、患部を動かさないようにすることです。
運動中止直後の安静は腫れや炎症をおさえ、出血を最小限にくい止めることができます。
冷やすことは、応急処置で最も効果があるものとされています。
冷やすことによって痛みや痙攣が軽減し酵素の活性が少なくなるので、組織の壊疽(えそ)を減らし、受傷後4〜6時間以内に生じる腫れも抑えることができます。
また血液の粘性を増し、毛細血管の浸透性を少なくし、患部への血流を減少させます 。
受傷後の冷却は代謝を下げ、組織に必要な酸素を少なくし、低酸素症を防ぎます。
この効果は、患部周囲の正常な細胞組織を助けることになります。
しかし、長く冷やしすぎると組織もダメージを受けてしまいます。
最良の冷却方法は、氷を使ったアイスパックを皮膚に直接当てることです。
凍らせたゲルパックはアイスパックよりも冷却温度が低くなるので、皮膚に直接当てないようにします。
アイスパックは長くても20分間にとどめ、感覚がなくなればその時に取り外します。
そして1時間か1時間半毎に冷却を繰り返します。症状の程度や範囲によって24時間〜72時間これを続けます。
ほとんどの急性の障害では、すぐに圧迫を加えることは、冷却と挙上とともに重要な手段であると考えられています。
患部を圧迫することは、内出血と血腫の形成を軽減します。
圧迫することで組織間に浸出液が侵入することを防ぎ、逆にその吸収を促進します。
圧迫には、色々な方法があります。水につけた弾性包帯を冷凍庫に入れて冷やしておけば、冷却と圧迫を同時に行うことができます。
圧迫が強すぎると、痺れなどを起こす場合があるので締めすぎには注意してください。
挙上とは患部を心臓より高い位置に持ち上げることです。
冷却、圧迫とともに、挙上は内出血を軽減させるのに役立ちます。患部を心臓より高く 持ち上げることで出血が軽減され、障害部位への血液や体液による圧迫も避けられ、静脈の返還が助長されるので腫れやアザも軽減します。
ねんざによる痛みというのは正しい処置により軽減してきますが、そのままではまたねんざをしやすく、俗に言う「捻挫がクセ」になってしまいます。
そうならないためにも関節の動きを充分可動域を出し、足関節周りの筋肉をきたえ、日常生活を支えられるようにしなくてはなりません。
人間の身体の組織(この場合は筋肉や靭帯、腱など)が損傷を受けると、血管も同時に損傷を受けそこから血液中にある様々な物質が関節内や筋肉中に漏れ出てきます。その中に痛みを出すたんぱく質(以下、発痛物質と呼ぶ)があるために損傷を受けた際に「痛み」として感受する事ができます。
この生体反応は「これ以上動くと危険ですよ」、と人間本来が持っている防衛本能によって起こるといわれてます。
しかし、この発痛物質は損傷を受けた周りの組織にも炎症を波及してしまうため、RICEを行うことにより意図的に血流を滞らせることで損傷を受けた組織だけでなく、周りの組織のためにも行います。
また損傷を受けた組織は目には分からなくても内出血を起こしています(時間が経過するにつれてはっきりと現れるケースもあります)。
出血した血液は組織内で血腫(血のかたまり)を形成し、その血腫が大きければ大きいほど、運動をする際に違和感を出したり、再発の原因にもなります。この二次的な傷害を抑えるためにもRICEが必要なのです。