明らかな原因がなく、加齢に慢性的な機械的刺激が加わって発症する一次性(原発性)と外傷や半月板切除後、あるいは炎症性・代謝性疾患に伴って生じる二次性(続発性)に分けられます。一次性の膝OAが多く、加齢による関節軟骨の変性の進行が原因と考えられています。
膝OAになりやすい要因として、年齢、女性、肥満、外傷の既往が挙げられ、特にBMIの増加が膝OAを増悪させるといわれています。
初期の典型的な症状は歩行開始時痛、立ち上がり時痛など膝関節の初動作の際に生じます。症状が進行していくと夜間痛や安静時痛も出現することがあります。
関節軟骨の変性が進むと内反変形や外反変形を呈し、階段昇降動作や正座などが困難となります。重症例では歩行不能となりADL(日常生活動作)が著しく制限されることもあります。
膝関節は股関節と足関節の影響を受けやすく、構造上不安定な関節です。X脚やO脚などによる骨の変形や外側と内側の筋力バランスの崩れ、柔軟性の低下が原因となってきます。電気療法や温熱療法で膝の痛みを軽減させ、痛みが落ち着いてきたら無理のない範囲で運動療法を行っていきます。
大腿部の筋力強化は膝への負担を減らし、ストレッチングによる柔軟性向上や関節可動域訓練は膝の動きをスムーズにしてしっかりと曲げ伸ばしができるようにします。
受傷機序は接触型(コンタクト)と非接触型(ノンコンタクト)に大別されます。接触型は主にコンタクトスポーツでタックルやスライディングなどの接触プレーにより受傷し、非接触型では急激なストップや切り返し、ジャンプの着地などで膝を捻って受傷されやすいです。
競技種目によって割合は異なりますがACL損傷の約30%が接触型で、約70%が非接触型であり、非接触型による損傷が多いです。
受傷時の症状はポップ音と呼ばれる断裂音(Popping)と膝くずれ(Giving way)が典型的です。受傷直後は激痛を伴うことが多く不安定感が出現するため活動を再開することは難しいです。時間の経過によって腫脹や熱感が増強し、関節血腫が出現します。
ACLは単独での損傷だけでなく半月板損傷や軟骨損傷、内側側副靭帯(MCL)、外側側副靭帯(LCL)、後十字靭帯(PCL)損傷、骨挫傷、骨折、神経損傷、血管損傷などを合併しやすいです。
損傷直後は前十字靱帯に負担がかからないような肢位に固定する方法が行われます。装具やテーピングを用いて、脛骨が大腿骨の前方や内旋位に動かないように固定していきます。靭帯に負担がかからないように固定しておくことで自然治癒するのを待ちます。
靭帯の状態を確認しながら、リハビリに移行します。筋力低下や関節可動域に影響が出るため、筋力トレーニングや歩行訓練を行い膝の安定性を改善させていきます。