腸脛靱帯炎になると、膝の外側の大腿骨の出っ張った部分(大腿骨外顆)に痛みが生じますが、階段や坂を下る動作でより負荷が大きくなるため痛みが強くなります。
腸脛靱帯炎はマラソンなどの長距離走を行う男性に多く発生する障害で、走っている最中や走った後などに膝の外側に強い痛みが発生するのが特徴です。また、手でその部分を押した時にも痛みが生じます。
腸脛靱帯炎の初期には、しばらく安静にしているとほとんどの場合に痛みは治まりますが、安静にせず無理をしてしまうと、休んでも痛みが治まらなくなり、慢性化してしまうことがあります。
症状が重くなると、痛みがさらに強くなったり、膝の曲げ伸ばしが困難になったりと、日常生活に支障をきたすようになることもあります。
腸脛靱帯は骨盤横の大腿筋膜張筋から始まり、脛骨外側顆まで伸びる長い組織ですが、膝だけでなく大腿骨転子部に痛みが生じることもまれにあります。
膝蓋腱炎は、ジャンパー膝やジャンパーズニーとも呼ばれるスポーツ障害のひとつで、膝の使いすぎによって起こるオーバーユーズ症候群とされています。
バレーボールやバスケットボールなどのジャンプする機会の多い競技や、サッカーなどのダッシュを繰り返すような競技を行う選手に多く発症します。
膝蓋腱炎が発症しても、初期のうちに安静にするなどの対処をしていれば回復は早いですが、ほとんどの場合に医療機関を受診するのは重症化してからのため、治療期間が長引き、治りにくくなってしまいます。
膝蓋腱炎の主な症状は、膝蓋骨(しつがいこつ:ひざのお皿)の下側に痛みや腫れが生じるというものです。初期の段階では膝蓋骨の下側あたりに違和感を覚える程度ですが、徐々に運動中や運動後に痛みを感じるようになります。
このような状態になっても治療をせずに競技やトレーニングを続けていると、痛みは慢性化してしまい、腫れがひどくなったり、歩いたりさわったりしただけでも痛みを覚えるようになります。
重症化すると、運動や日常生活に支障が出るほどになってしまいます。ひどい場合には、膝蓋腱が断裂したり、腱が骨に付着している部分で剥離骨折を起してしまう場合もあります。
膝蓋腱は、大腿前面にある大腿四頭筋の末端にある腱で、大腿四頭筋が大腿四頭筋腱となって付着する膝蓋骨と、脛骨の上端をつなぐ腱です。膝蓋骨と共に、膝関節包を補強する役割があることから、膝蓋靱帯とも呼ばれています。
膝を伸ばす動きでは、大腿四頭筋が収縮することで、それにつながっている膝蓋骨・膝蓋腱・脛骨が引っ張られて膝関節が伸びる仕組みになっているため、膝蓋腱にはとても大きな力がかかります。
ジャンプをするためには、まず膝を曲げて腰を落とし、大腿四頭筋を一気に収縮させながら全身を伸ばすという動きをするため、膝蓋腱が大きな力で引っ張られます。
そして着地の時にも、膝を曲げて衝撃を受け止めるために大腿四頭筋は収縮し、膝蓋腱は大きな力で引っ張られ、衝撃を受け止めます。
膝蓋腱炎の主な原因となるのは、このようにしてジャンプや着地を繰り返し行うことであり、膝蓋腱が酷使されて小さな損傷や断裂が起こり、炎症を起して痛みや腫脹が発生してしまいます。
膝蓋腱炎がジャンパー膝やジャンパーズニーとも呼ばれているのは、このように繰り返しジャンプを行うような競技をする選手に多く発生する障害だからです。
10代の成長期に多い病気で、運動時や運動後に膝の関節の奥に激痛が走ります。進行すると日常的に痛みが起こります。
離断性骨軟骨炎は関節軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が壊死し、関節軟骨の一部とともに死んだ骨片が関節内にはがれ落ちる病気です。
軟骨や骨片が関節の中を動きまわり、関節軟骨の間にひっかかったり、骨の間にはさまったりすると、強い痛みが引き起こされます。これを関節ねずみ(関節遊離体)といいます。
遊離体はじっとしていないので、痛む箇所も程度も、そのときによって変わります。
円板状半月板や、骨と関節軟骨の結合がまだ不完全な成長期に外傷を受けたことなどがきっかけになることがあります。